大学職員の役割は 2
投稿日:2024年 07月 11日
大学設置基準が改正され、「大学は、その事務を処理するため、専任の職員を置く適当な事務組織を設けるものとする。」となっていた条文が、「大学は、その事務を遂行するため、専任の職員を置く適当な事務組織を設けるものとする。」と変更された。変更箇所は、「事務を処理する」となっていたのを、「事務を遂行する」と変えた点である。字数でいえば、わずか二文字の変更である。
「処理する」の意味を調べてみると、物事を取りさばいて始末をつけること、 取り扱って事の始末をつけること、となっている。一方、「遂行する」は、物事や任務、仕事などをなしとげること、完全にやり通すこと、業務や任務などを実際に最後まで実行すること、となっている。抽象度の高い表現なので、具体的な相違点は明確ではないが、これからの職員の働き方としては、主体的に業務に取り組むべきであるという趣旨は感じられる。
しかし、もともと事務職員の業務に明確な限界があったわけではないので、限界をつくっていたのは大学の風土と、それによって抑制されていた職員の意識であると思う。私はもともと分をわきまえないところがあるので、教員に遠慮をして仕事をしていたという意識はなかったが、それでも、大学の重要事項が教授会で審議・決定され、そのプロセスに参加できないということには、寂しさを感じていた。
私がかつて所属していた短期大学が四年制大学に改組した時、教員、職員という呼称でなく、大阪のある短期大学が使っていた、TS(Teaching Staff)、MS(Management Staff)という呼称の採用を提案し、役割りが異なるだけで、両者は対等な関係という風土をつくろうと考えたのである。そして大学全体の重要事項に関しては、TS、MSが参加するスタッフ会議で決することにしたのである。このことによって、私が長い間、職員として感じていた納得のできない不公平感が、何とか解決できたと、心の中で喜んだものであった。
ところが、この体制が始まってみると、職員の中には、言われたことを処理していくという働き方の方がいいという人も少なくなく、職員のスタッフ会議の参加状況は芳しくないものであった。主体的に運営に参加できる仕組みがなかったので参加できなかったという事情だけでなく、そもそも参加したいという意欲を持っていなかったという状況もあったのである。当時とは環境も変わってきているので、この意識にも変化があるとは思われるが、ここを変えていかない限り、ルールや仕組みが整えられても、職員の進化は期待できないものになってしまう。
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