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教職員の能力開発

投稿日:2021年 09月 04日

 今、大学でもFD(Faculty Development、授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修および研究)やSD(Staff Development、教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため、教職員に必要な知識及び技能を習得させ、並びにその能力及び資質を向上させるための研修)といった取り組みが義務化されたため、どこの大学でも毎年、FDやSDに関する研修等が行われるようになってきた。

 これらの研修により、授業力が向上することになり、教職員の経営力、経営感覚が磨かれることになれば、それは当然、大学の状況を改善することにつながることになるので、歓迎すべきことではある。しかし実際は、単発の研修によって授業力や経営力等の改善につながるケースは、それほど多くないように思われる。やはり大事なことは、日ごろの意識の持ちようではないかと思う。

 能力開発において最も大切なことは、日々、考えること、考えさせ続けることではないかと思う。そのためには、組織内に考える風土をつくることが不可欠である。例えば異動等で部門が変わると、当初は業務のやり方等について、いろいろと疑問を持つことも多いと思うが、日々、業務を続けていると、そのやり方に慣れてしまい、疑問がいつの間にか消え去ってしまうことになる。そうならないようにするためには、一つ一つの業務に関して、これまでのやり方を批判的かつ建設的に毎回点検してみることである。その結果、これまでのやり方が継続することもあるであろうが、大事なことは所与のものを当然には受け取らないという姿勢である。

 このような点検をいちいち行うということは面倒なことであり、ストレスになりそうだと思われるかもしれない。確かに、他者の決めた仕事のやり方を踏襲するということは楽ではあるが、やりがいというものは感じにくくなってしまうと思う。これに対して、自分の頭で点検してみるというプロセスを踏むことは、自分がその業務に主体的に関わり、コントロールしているということを感じられるようになるので、やりがいを感じることになる。やりがいは、大きなエネルギーを生み出すものであり、仕事を楽しくしてくれるものであるから、ストレスを感じるというような心配はもちろん無用となる。