ブログ

効果的なフィードバック

投稿日:2020年 10月 24日

フィード(feed)とは、英語で食べ物を与えるとか、食べ物自体を表す言葉であるので、フィードバックとは、その人に対して必要なエネルギーを与えるということが本来の意味となる。ある特定の業務や一連の活動に対してフィードバックが与えられることで、それらの業務や活動の内容がさらに良いものとなり、それらに従事する人たちのモチベイションが高まるということが、本来、フィードバックが果たすべき機能ということになる。

ところが残念ながら、現実はそのようになっていないケースも少なくないように思われる。私が以前いた職場でも、管理職の役割や実際の働きについて、一般職員のフィードバックが行われたことがあった。結果は、無記名で行われたということもあり、悪口のオンパレードのような状態になってしまった。フィードバックの機能は、前述したように今後のあり方を良くするということである。つまり、建設的な指摘ということが重要な要素となるのである。

それが、自由に意見を出してくれということになると、日ごろの不満解消ということもあるのであろうか、なになにができていないとか、このことについての知識が全くないとかといったような、現状、できていないこと、足りていないことの指摘に終始してしまうのである。そうなってくると、言われた方も感情的に反発する状態となってしまい、自分もできていないくせに何を言っているのだとか、言っている側のできないこと、足りないことを返すことになり、建設的な状態とは正反対の状態となってしまうのである。

フィードバックで大事なことは、内容ももちろんであるが、その言い方である。以前、就職支援の業務に携わっていた時、将来の働き方が決まっていない学生への対応スキルを身に付けるため、キャリアカウンセリングの勉強をし、資格を取ったことがある。そのスキルを活用して学生相談に従事していたのであるが、一方、将来就きたい仕事が明確な学生もいて、その学生への対応の不十分さを感じていた。そのようなときにコーチングというコミュニケーションスキルを知り、同じく勉強をし、コーチの資格を取得した。

コーチングは指示しないで本人に考えさせるということが基本的な姿勢であるので、教えたりしない代わりに質問をしたり、フィードバックを与えたりするということがコミュニケーションの中心となるものである。その勉強の中で出てきた言葉に、「Youメッセージ」と「Iメッセージ」というものがあった。Youメッセージとは、あなたが主語になるものであり、Iメッセージとは私が主語となるものである。

先ほどの例でいえば、管理職に対しての「あなたは○○ができていない」とか「あなたは××を知らない」がYouメッセージである。Youメッセージの特徴は、相手に対する評価として受け取られるということである。肯定的な評価であれば問題ないが、否定的なものであると相手は非難されていると感じ、それに対する防御やそこからの逃避を考えることになり、改善にはつながりにくいものになってしまう。

一方、Iメッセージは、メッセージを発している人が感じていることなので、否定しようがないし、非難されているという要素も弱まるので、受け入れやすく、改善に結びつきやすくなる。例えば、遅刻の多い部下に対して、「(あなたは)最近遅刻が多いな、(あなたは)たるんでいるんじゃないか」と叱責するのはYouメッセージである。それに対して、「最近遅刻が多いので、何かあるのじゃないかと(私は)心配している」というのがIメッセージである。

また、Ⅰメッセージは自分の希望を述べる場合にも適したものである。管理職に対して「(あなたは)指示ができていない」と非難だけするのではなく、「明確な指示があると(私たち)が仕事をしやすいので助かる」というフィードバックにすることで、今後の改善を期待する建設的なものになるのである。細かなことであるが、このような細かな気配りがが、建設的な話し合いには欠かせない要素なのである。