良い人間関係を築くには
投稿日:2020年 09月 07日
職場にいる人たちを、4つの「じんざい」として分類することがある。素材としての「人材」、いては困る存在の「人罪」、ただいるだけの「人在」、財産としての「人財」の4種類である。そしてこの4つを分けている基準軸として、縦軸に「将来性」、横軸に「実績」を設定している例も多い。各「じんざい」に該当している人たちの現状を表すものとしては適切であると思うが、マネジメントの関係から考える際には、横軸を「仕事力」、縦軸を「人間関係力」(他人の気持ちが理解でき、その状況に応じた適切な言動を取ることのできる力)とするのが分かりやすいと思う。
人材 | 人財 |
人罪 | 人在 |
ストレスの主要な原因の一つとして、上司の適切なマネジメントの欠如ということを挙げたが、それは上司がどの「じんざい」に該当するかに関係してくる。管理職になる人はどのような人が多いかといえば、業務処理能力が高く、その面で実績を挙げた人である。したがって管理職の多くは、仕事力が高いので、図表の右側にいることになる。そしてその人の人間関係力が高ければ、職場の財産としての「人財」となり、適切なマネジメントが行われることになる。
しかし、もともと人間関係力の高い人がそう多くいるわけではないし、業務能力の高い人は得てして人間関係よりも業務の遂行を重視する面が強いようにも思われる。そして大学も含めて日本の職場の場合、管理職の業務遂行力を高める研修等は行われているが、人間関係力を高めるための研修などは、あまり行われていないように思われる。そうであると、管理職の多くは図表右下の「人在」に所在するようになってしまうのである。これが、上司との人間関係に起因するストレスを生んでいる理由ではないだろうか。
最近、大学から管理職研修を依頼されることが増えてきたが、その際には、必ず人間関係力を高めるための視点を盛り込むようにしている。そしてこれは管理職だけでなく、全ての人が身に付けるべき力であると思う。先に紹介した「ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査」でも、上司との人間関係だけでなく、同僚との人間関係もストレスの原因として上位に挙げられている(2017年4位、2018年2位、2019年は上司との人間関係を超えて3位)。
これについても、いろいろな原因が考えられる。業務量の増加に伴う役割分担の調整、多忙によるコミュニケーション不足、評価制度等、競争環境が持ち込まれたことによる互助精神の弱化、といったことも原因としてあるだろうが、良好な人間関係を構築しようという職場の意識がないことも大きな原因ではないだろうか。職場には、「仲良しクラブ」の要素が絶対に必要であると思う。
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