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お金は大切に

投稿日:2013年 11月 01日

 ど の地域でも、電車に乗ると大学のポスター必ず貼りだされている。オーソドックスなものとしては、オープンキャンパスや入試の日程を告知するもの、少し変 わったものとしては、その大学の特色を詳細に説明しているものや、教員からのメッセージを載せているものなど、さまざまであるが、問題はそれらのポスター が何らかの役割をどれだけ果たしているのかということである。駅の構内等にある看板にしてもしかりである。
 

 最初の関門は、それらはどれくらい見られているのかということである。私自身は職業柄、何か役に立ちそうな 材料はないかという視点で、電車の中や駅の構内を観察しているが、ほかの人の様子を見てみるとほとんど見ていないといってもいい。何人かで乗っている人は 会話をしているし、一人の人は携帯を見ているか寝ているかで、車内を見渡している人を見たことは皆無と言ってもいい。駅の構内も同様で、皆前を向いて歩い ていて、看板を見ている人を見つけるのは難しい。
 

 とはいっても見ている人が誰もいないということはないだろう。好奇心旺盛な人は見るであろうし、所在ない人 もなんとなく見ることもあるであろう。ただ、これらのポスターや看板の目的は、このような人たちに見られることではない。大学にとって顧客といえる、高校 生や保護者、大学と連携を考えている企業や自治体の関係者といった人たちに見てもらいたいのである。これらの人たちが、電車内のポスターや駅の看板を自分 にとって有用な情報源と考えていれば、ポスターや看板を出す意味はあるのである。
 

 例えば、自分が高校生であったとしたらどうであろうか。大学に関する情報を何から得ようとするだろうか。お そらく受験雑誌や大学のパンフレット、ホームページといったものから得ようとするだろう。ほかの関係者も同様であろう。そして情報というものは、情報を得 ようと思ってみている人の目にのみ、入ってくるのである。
 

 これらを総合して考えてみると、少なからぬ費用をかけて電車内にポスターを出したり、駅に看板を出したりす るのは、どうもあまり適切な方法とは言えないようである。このような結論に至るためには、これまでの広報活動を点検すること、それも作り手の視点でなく、 受け手の視点で点検してみることが必要となる。学生からいただく学納金は、有効に使うことが必要であるし、不必要な支出を削減することで学習環境を充実さ せたり、学納金が下がったりということになるならば、学生にとってもありがたいことである。

 広報を基本から考えてみませんか。